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「始まりは、つねに終わりよりも緩慢」――ガードを固めた企業に照準 [アナリストレポート]
高級車と並んだステータス腕時計
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「終わりは、つねに始まりよりも突然である。針を刺された風船がしずしずとしぼむはずがない」。3年前に亡くなったカナダ出身の経済学者、ジョン・ケネス・ガルブレイス(1908~2006)の言葉だ。
明日上がる銘柄はコレとコレ。
「針を刺された風船」がリーマンショックによって突然、破裂し、驚愕の大暴落相場に突き進んだのは昨年9月~10月。日経平均株価でみる限り、同年10月28日の取引時間中に6994円まで突っ込んだところで崩落相場はひとまず底を叩いたものの、個別銘柄の激震はなお収まらなかった。
その象徴が、前回の当コーナー(11月6日付、『楽観禁物』論はプラス材料――総合商社にみる“堅いガード”)で取り上げた大手商社だ。昨年11月21日、三井物産(8031)、三菱商事(8058)はそろって売り叩かれた。当日の安値は三井物が656円、三菱商は923円。
当日付の株式新聞1面のコラム「晴雨曇」では「PBR(株価純資産倍率)が0.4~0.5倍とバランスシートがまるでズタズタになるような事態まで織り込んだような大手商社株の株価はどう考えても異常だ」とし、「うろたえるな、日本株」の言葉で締めくくられていたものの、暗黒に染まったマーケットでは先安感が充満。しかし、その日の安値が両銘柄の大底だった。最も暗く見えるとき、株価はボトムアウトするという経験則の正しさが見事に証明された一事である。
あれから1年。この間、株式市場は「突然、はじまる“終わり”」を警戒する日々にさいなまれ、上場企業の経営トップも収益回復の道のりがいつ途切れるか分からない不安や緊張感が続いてきた。今3月期第2四半期累計(4~9月)決算では7~9月の利益が4~6月に比べて大幅に回復しながら、通期の予想を据え置いた企業が多数を占めている大きな理由がそこにある。
もっとも、先ほどの経験則という点でいえば、先行きに神経を配りながらの「慎重経営」が躓(つまず)くリスクは、能天気な経営に比べると、はるかに小さい。
相場の厳しい現実に身をさらしてきた経験から、「希望的観測は、常に裏切られる運命にある」と断言したのは、昭和の最後の相場師と言われた是川銀蔵(1897~1992)だが、これは経営にも当てはまる。
ならば、「危うい希望的観測など、最初から捨ててかかろう」というのが、前08年度後半以降の業績急降下による大失敗に懲りた多くの上場企業の今日、ある姿だろう。徹底的に、石橋を叩いて渡るこうした動きは固定費の大幅圧縮などによって損益分岐点比率の低下を実現。結果的に予想以上の好結果を生む可能性がある。しかし、そこにたどり着くまでには、なお時間がかかる。
ガルブレイスの箴言をこうした角度で言い換えるなら、「始まりは、つねに終わりよりも緩慢である。しぼみきった風船が、たちまちパンパンに膨らむはずがない」となろうか。
ともあれ、今は経済も、株価も再生のとき。リスクを恐れず、むしろそれを果敢にとる挑戦的な企業でありながら、一方ではとことんガードを固める――このような攻めと守りのスタンスを堅持した企業であれば、難局を乗り切れるだろう。脇を締めた経営であるかどうかを探るヒントのひとつが収益予想における為替の前提レートだ。
1ドル=85~88円と、実勢水準よりドル安・円高を想定して予算を組んでいる銘柄には、テルモ(4543、今期業績予想の前提レートは85円)、ユタカ技研(7229、同85円)、TSテック(7313、同88円)、蛇の目(6445、同85円)などがある。特にテルモは業績が上げ潮に乗っているため、今後、見直し人気が広がっていく公算大。
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