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株価の「もうは、まだなり」の根拠は? [アナリストレポート]
「もうは、まだなり」の根拠
上場企業の「1~3月の収益底入れ」説が、どうやら株式市場のコンセンサスを得つつあるようだ。皮肉なもので、こうしたムードが広がるのを待ち構えたように、上値追いの動きが鈍ってしまうことが多い。
今回もそうだ。収益状況が一番厳しく、したがって相場の先行きが最も暗く見えていたのが3月中旬。弱気ムードに覆われて、日経平均6,000円台割れ説すら飛び出し、投資家の多くが買いの手を出せなかったのだが、3月10日の7,021円をボトムにスルスルと上がりはじめた。
そして、主力企業の3月決算の中身と今期の収益予想がある程度つかめ、「業績は最悪期を脱した」との見方から投資家の物色マインドが盛り上がった5月11日、日経平均は9,503円を記録し、昨年11月5日以来の9,500円台を回復したのは周知のとおり。いけるぞ、と思わせたのが裏目に出て、その後はやや波乱気味の足取りとなっている。
先読みを激しく争う株式マーケット。株価は、もう今年度の回復をあらかた織り込んでしまったのだろうか。
違う。当面に限れば、なお神経質な展開が続く可能性はあるが、現状は「懐疑の中で育つ強気相場」の初動段階と見られるからだ。
日経平均の13週移動平均線と26週線は今週に入って11カ月ぶりにゴールデンクロスを達成。13週線が26週線を上抜き、しかも株価が二つのラインの上位に位置していることで、チャート的には上昇トレンド入りの感触が強まりつつある。したがって、目先は、押し目があっても知れたもの。
足場固めを終えたあと、日経平均は1万円を目指す流れに発展するとの見方は、決して過度の強気論ではない。しかし、ファンダメンタルズを重視する向きの間には、主力企業の赤字決算が相次ぐ状況を目の当たりにして、「1万円説」が実態遊離の超強気論に映るらしい。
だが、今年度に入ってから立ち上がり1カ月の間に浮かび上がってきたハイテク各社や内需型主力企業の気迫に満ちた対応ぶりは特筆に値する。
5月14日に決算を発表したソニー(6758)は、今期の固定費削減額が3,000億円になることを明らかにした。従来の計画額が2,500億円だったから、それを500億円上回る。
トヨタ自動車(7203)も8日、「緊急収益改善」策として、減価改善努力で3,400億円、固定費削減で4,600億円をそれぞれ今期の計画線として打ち出した。合わせて8,000億円のコストダウン目標にはトヨタの“壮烈な決意”がうかがえるが、おそらくこれは最低ライン。全力を振り絞った結果、コストダウン「1兆円」を実現することは十分考えられる。
「乾いた雑巾を、さらに絞りこむような合理化策」と言われたのは第2次オイルショック時の不況(1980~82年)局面だった。当時の減量経営は、その後、劇的な収益回復につながったが、今回の上場企業の取り組みはあの頃をはるかに上回る。
大同特殊鋼(5471)の小澤正俊社長は「70%操業でも確実に利益を確保できる」経営体質づくりを強調。徹底したコスト削減によって、労務費を中心とする固定費の大幅圧縮を狙う。
猛烈なコストダウン努力を織り込む相場は、これから。「もうは、まだなり」という相場格言がある。まことしやかな上値追い限界説がマーケットにはびこりつづける間は、しっかりと命脈を保つ格言になろう。
2009-05-15
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上場企業の「1~3月の収益底入れ」説が、どうやら株式市場のコンセンサスを得つつあるようだ。皮肉なもので、こうしたムードが広がるのを待ち構えたように、上値追いの動きが鈍ってしまうことが多い。
今回もそうだ。収益状況が一番厳しく、したがって相場の先行きが最も暗く見えていたのが3月中旬。弱気ムードに覆われて、日経平均6,000円台割れ説すら飛び出し、投資家の多くが買いの手を出せなかったのだが、3月10日の7,021円をボトムにスルスルと上がりはじめた。
そして、主力企業の3月決算の中身と今期の収益予想がある程度つかめ、「業績は最悪期を脱した」との見方から投資家の物色マインドが盛り上がった5月11日、日経平均は9,503円を記録し、昨年11月5日以来の9,500円台を回復したのは周知のとおり。いけるぞ、と思わせたのが裏目に出て、その後はやや波乱気味の足取りとなっている。
先読みを激しく争う株式マーケット。株価は、もう今年度の回復をあらかた織り込んでしまったのだろうか。
違う。当面に限れば、なお神経質な展開が続く可能性はあるが、現状は「懐疑の中で育つ強気相場」の初動段階と見られるからだ。
日経平均の13週移動平均線と26週線は今週に入って11カ月ぶりにゴールデンクロスを達成。13週線が26週線を上抜き、しかも株価が二つのラインの上位に位置していることで、チャート的には上昇トレンド入りの感触が強まりつつある。したがって、目先は、押し目があっても知れたもの。
足場固めを終えたあと、日経平均は1万円を目指す流れに発展するとの見方は、決して過度の強気論ではない。しかし、ファンダメンタルズを重視する向きの間には、主力企業の赤字決算が相次ぐ状況を目の当たりにして、「1万円説」が実態遊離の超強気論に映るらしい。
だが、今年度に入ってから立ち上がり1カ月の間に浮かび上がってきたハイテク各社や内需型主力企業の気迫に満ちた対応ぶりは特筆に値する。
5月14日に決算を発表したソニー(6758)は、今期の固定費削減額が3,000億円になることを明らかにした。従来の計画額が2,500億円だったから、それを500億円上回る。
トヨタ自動車(7203)も8日、「緊急収益改善」策として、減価改善努力で3,400億円、固定費削減で4,600億円をそれぞれ今期の計画線として打ち出した。合わせて8,000億円のコストダウン目標にはトヨタの“壮烈な決意”がうかがえるが、おそらくこれは最低ライン。全力を振り絞った結果、コストダウン「1兆円」を実現することは十分考えられる。
「乾いた雑巾を、さらに絞りこむような合理化策」と言われたのは第2次オイルショック時の不況(1980~82年)局面だった。当時の減量経営は、その後、劇的な収益回復につながったが、今回の上場企業の取り組みはあの頃をはるかに上回る。
大同特殊鋼(5471)の小澤正俊社長は「70%操業でも確実に利益を確保できる」経営体質づくりを強調。徹底したコスト削減によって、労務費を中心とする固定費の大幅圧縮を狙う。
猛烈なコストダウン努力を織り込む相場は、これから。「もうは、まだなり」という相場格言がある。まことしやかな上値追い限界説がマーケットにはびこりつづける間は、しっかりと命脈を保つ格言になろう。
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