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自動車大手3社、業績上方修正と株価の反応、そして今後の展開は… [アナリストレポート]

 トヨタ自動車(7203)、ホンダ(7267)、日産自動車(7201)の国内自動車大手3社の今3月期第2四半期累計(4~9月)連結決算と今期通期の連結業績見通しが出そろった。各社とも、(1)世界規模で導入された、環境対応車購入促進などの補助政策に伴う新車販売の回復(2)人件費など固定費の思い切った削減(3)原材料費などでの原価低減努力(4)中国を中心としたアジア地域での予想を超える販売好調(5)金融市場や中古車市場の正常化に伴うリース残価にかかわる費用や調達コストの減少などによる金融事業の収支改善――の共通の要因を追い風にして、3カ月前の第1四半期(4~6月)決算発表時点に比べて営業損益が大幅に上方修正される好結果となった。

ところが、細かく見ると三者三様で、業績回復のけん引役やその強さなど、内容にかなりの差があることが分かる。これを反映して、株価の反応もかなり異なった様相となった。決算、業績予想の特徴と株価の反応を吟味しながら、今後の株価動向を探ってみたい。


 ホンダは、10月27日、通期営業利益予想(米国会計基準)を従来予想の700億円から1900億円(前期比0.2%増)に上方修正すると発表。これにより、前期の営業利益1896億円を上回り、今期増益転換となる。四輪車の世界販売計画を従来の329万5000台から340万台に、二輪車世界販売も従来の895万台から956万5000台にそれぞれ上方修正した。日本や中国、インドでの四輪車販売が好調だったほか、二輪車もベトナムやインドなどで前年同期に比べ大きく伸びているのが背景。四輪車の上方修正分10万5000台の内訳は国内約3万台、中国約7万台としている。

 ホンダの場合、ハイブリッド車「インサイト」の国内好調に加え、中国販売が予想を上回り、他の東南アジア地域で二輪車が堅調に推移した。特に、営業利益の大幅上方修正だけでなく、わずか0.2%ながらも前期比で“増益予想”となったことが好感されて、翌28日の株式市場では、圧倒的な買い人気を集め、一時前日比140高の2985円と3000円手前まで買い進まれた。しかし、その後は全体相場の軟調もあり、株価水準は決算発表前の水準(6日終値2800円)に戻っている。


 日産自は4日、今期の連結業績予想の上方修正を発表、従来予想の営業損益1000億円の赤字を、一転1200億円の黒字になると大幅に上方修正。上方修正したのは、中国での販売好調などにより、通期の世界販売台数を従来予想の308万台から330万台に引き上げるなど販売回復に加え、人件費、生産費用などのコスト削減が寄与したため。


 業績回復をけん引したのは中国での好調で、7~9月の販売台数は20万9200台(前年同期比71.6%増)と極めて高い伸びを示している。同社は中国での今期の販売台数を期初予想の57万台から14万台上方修正して71万台とした。日産自が中国で健闘をみせているのは、早い時期から内陸部まで販売網を広げ、豊富な車種を投入して取り組んできたことが挙げられる。日産自の株価は発表の翌5日朝、カイ気配で始まったものの、当日の全般軟調地合いもあり、買い一巡後は大きく伸び悩み、終値は前日比2円高の663円となった。


 トヨタは5日、今期連結業績予想(米国会計基準)の上方修正を発表、営業損益を7500億円の赤字から3500億円の赤字へと赤字幅が縮小すると発表した。第2四半期累計の営業損益は1368億円の赤字となったものの、第2四半期(7~9月)は580億円の黒字を達成した。通期の連結販売予想台数を703万台(従来は660万台)に上方修正し、国内販売も202万台から213万台に引き上げた。


 「新型プリウス」など環境車の販売好調や、固定費削減、金融事業での収益改善などにより従来予想に比べて営業赤字が大幅減少するものの、ホンダ、日産自が通期営業黒字予想に転じたのと比べると市場へのインパクトが限定的だった。6日のトヨタの株価は、朝方は買い優勢で一時、前日比60円高の3640円まで買い進まれる場面があったものの、後場からはマイナスに転じ、終値は同60円安の3520円と安く引ける事態となった。


 さて、3社の今後の業績、株価を探るポイントは何か。まず、分かりやすいのが10月以降の為替想定。ユーロに関しては、3社とも1ユーロ=130円。ドルは、ホンダと日産自が1ドル=85円としているのに対してトヨタは1ドル=90円で、やや余裕に欠ける。また、今期の業績上方修正の大きなけん引役となっている“中国需要の好調”を最も享受するのが日産自だ。今期通期の中国での販売台数の計画は71万2000台(前期比30.6%増)と大幅増を見込み、営業利益でも1200億円の三分の一程度は中国で稼ぎ出すものと推測される。日産自は中国市場の動向次第で来期以降の業績が様変わりに好転する可能性を秘めている。ホンダは、二輪の好調は引き続き好材料だが、新車購入支援策がなくなることや、景気低迷により欧米市場での低迷懸念が気掛かりだ。


 6日終値ベースで試算した各社の連結PBR(株価純資産倍率)はトヨタ1.21倍、ホンダ1.27倍、日産自1.14倍と大きな差はない。トヨタの株価は中段もちあいを下放れた格好になり、短期的には下値模索が続きそうだ。ホンダは、25日移動平均線をめぐる正念場。大きく割り込まなければ短期反転上昇の可能性も。日産自は、上昇トレンドを堅持したまま。直近の東証信用倍率も0.71倍と売り長で、中期的にも上昇基調が期待できそうだ。

【提供:モーニングスター】
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